芸術に関する精神的考察

キャンディ・ライブ・ジャズ・イン・京都のバック・トゥ・ザ・ガーデン(2024年4月17日)

執筆者 8月 25, 2024音楽, 旅行, 日本コメント0件

京都での2日目の夜、私は次の店に行った。 キャンディ・ライブ・ジャズ のトリオを見に祇園へ。 西村琴乃 (アルトサックスとソプラノサックス)、 柳原由佳 (ピアノ)、そして 池田鮎子(パーカッション)。私は彼らの誰ひとりとして知らなかったが、最初から、彼らの音楽には感染力があり、リズミカルで冒険的、そして高揚感があると感じた。 

キャンディ・ライブ・ジャズは、質の高いミュージシャンのブッキングに定評のある、親しみやすくも居心地の良い、上品な佇まいのクラブだ。日本の多くのジャズクラブと同様、様々なアルコール飲料と軽食が用意されている。入場料は、小さな前菜(最低500円)+ドリンク(最低600円)の購入で2300円。有利な為替レートを抜きにしても、大都市のこれほど素敵なクラブとしては極めてリーズナブルな料金だ。私は早めに到着し、好きな席を選ぶことができた。その後、満席になった。 

琴乃は曲の合間にほとんどしゃべり、そのほとんどは彼女か優香が書いたもので、明らかにトリオのリーダーだった。彼らはリラックスした仲間意識を持っており、互いによく知り、心地よく、一緒に演奏することを楽しんでいるのが伝わってきた。彼らのスタイルを強いて分類するならば、それぞれの創造的な選択によって活気づけられたスムース・ジャズということになるだろう。 

まるでトーマス・コールの絵のように、鳥のさえずりが聞こえ、一息つくことができる。月のない澄んだ夜に見上げれば、天の川の荘厳さに目を奪われる。優香のピアノは自信に満ち溢れた地形を描き、琴乃の明るい音色は元気の出る太陽を呼び起こし、優香の幅広いオーガニック・サウンドのパレットは鳥のさえずりと香り高い大地に浸らせてくれる。ジョニ・ミッチェルの『ウッドストック』でのリフレインが思い出される。私たちは星屑。そして私たちは自分自身を手に入れなければならない/庭に帰ろう"。

曲ごとに、彼らの作曲は幅広いメロディーと冒険的なリズムを特徴としている。余裕のある内省的な曲もあれば、速くてファンキーな曲もある。サニーレイン」、「ビンカ(ツルニチニチソウ)」、「さくら」、「2018年3月」、「天の川」など、その多くは自然からインスピレーションを得ており、彼らがカバー曲として選んだ「春よ、来い」は、1923年に創作された童謡で、作詞は相馬暁風、作曲は広田龍太郎である。この曲は日本国内ではほとんどの人に親しまれており、特に童謡としては驚くべき長寿を誇っている。  松任谷由実が1994年にカバーしたこのポップスは、YouTubeで3700万回近く再生されている。

インストゥルメンタルで演奏されたにもかかわらず、観客の誰もがこの曲の歌詞を思い出していたと思う。この歌詞には、少女みいちゃんが赤い鼻緒のわらじで初めての一歩を踏み出し、早く春が来て新しい世界を探検できるようになることを切望している様子が生き生きと描かれている。家の前では、桃の木の膨らんだつぼみが、彼女の成長と雪景色に別れを告げる熱望に呼応している。  

幼い頃の子供たちや、自分たちの子供時代の思い出は、私たちを懐かしさでいっぱいにする。琴乃は編曲に複雑なハーモニーを取り入れることで、この曲からかわいらしさや感傷的な部分を削ぎ落とし、青春の執拗なエネルギー、季節の移り変わりの必然性、そしてそのような瞬間の儚さのほろ苦さを掘り起こした。琴乃の実の娘も、つい最近一歩を踏み出したばかりで、みいちゃんと同じように外の新しい世界を迎えようと躍起になっていたに違いない。この曲を選んだのは、季節のテーマだけでなく、彼女のことも考えてのことだったのだろうか。

終演後、女性トリオで一緒に演奏して何が違うのか聞いてみた。重要なのは演奏している人の性別やセクシュアリティではなく、フィーリングと音楽的グルーヴなのだ。とはいえ、この3人は一緒に演奏することが大好きだ。いつから始めたのか正確には覚えていないが、4~6年前、多忙なスケジュールのため年に1~3回しか集まれないという。 

それでも琴乃は、このアンサンブルが一番好きだと言う。琴乃は由香の作曲した曲を初めて聴いたとき、彼女と一緒に演奏したいと思った。二人とも、パーカッショニストとして有名な鮎子のことは知っていて、一緒にやったら面白いだろうと思っていた。琴乃は、鮎子がパーカッション奏者として有名であることを知っていて、一緒にやったら面白そうだと思ったのだ。鮎子が参加することに同意したとき、トリオとしてのサウンドが良いことに気づき、ベース奏者を加えないことに決めた。琴乃は幼い娘の世話もあり、多忙を極めているが、また一緒にアルバムを作りたいと考えている。

京都出身。大阪音楽大学音楽学部器楽学科卒業。2018年に「First Note」、2021年に「Favorable Move」と2枚のオリジナルアルバムをリリース。いずれも好評を博している。1枚目はメロディーと感情の深みが評価され、2年で完売。パーカッションを加えた全曲オリジナル曲の2ndアルバムは、スムース・ジャズに驚くほど洗練されたリズムを取り入れた彼女の独創性がさらに高く評価された。また、彼女の演奏、特に明るく魅力的な音色も高く評価されている。

優香と鮎子も参加している『Favorable Move』は、彼らがこのライブ・セットで演奏した曲がいくつか収録されているので、家に持ち帰った。もう何度も聴いて楽しんでいる。琴乃はクラシック音楽の素養と、何度かのアメリカ旅行での音楽的探求によって作曲の想像力を豊かにし、何度も聴きたくなるような、親しみやすく、それでいて新鮮で生き生きとした作品を生み出している。第17回長江杯国際音楽コンクール第1位、日本クラシック音楽コンクール全国決勝大会第5位は、彼女の作曲能力の高さを証明するものである。

Kotono Nishimura 西村琴乃写真提供:クリストファー・ペラム

西村琴乃

Yuka Yanagihara 柳原由佳写真提供:クリストファー・ペラム

柳原由佳

大阪出身の優香は、年間約300本のライヴをこなし、ジャズだけでなく、作曲や編曲も手がける。ジャズだけでなく、作曲や編曲も手がけ、日本のクラシックやボサノバ、ポップスの演奏にも引っ張りだこだ。この10年間、ソロ、デュオ、トリオ、カルテットなど、オリジナル曲やカバー曲を織り交ぜた10枚のアルバムをレコーディングし、リリースしている。セカンド・アルバム『Inner Views』収録の「Silence」は、ジャズ・オーディオ・ディスク大賞2019メロディー賞を受賞した。 ジャズ評論家.

4歳でオルガンを始め、8歳でピアノとドラムを始めた。音楽の道に進もうとは考えていなかったが、両親がよく演奏していたチック・コリアのフュージョンの名曲「スペイン」を聴いて、何かが沸き上がったという。彼女はコリアが誰かも、ジャズについて何も知らなかった。OLになるために専門学校に入学するつもりだったが、高校を決めるときに甲陽音楽舞踊学院を選んだ。

2006年、甲陽学院と提携しているボストンのバークリー音楽大学に奨学金を得て進学。2008年にジャズ作曲の学位を取得し、同校で活動を続ける数名のミュージシャンと交流を持ち、アメリカ北東部で演奏活動を行った後、帰国。 

アメリカ滞在中、彼女はコリアが教えるワークショップに参加し、ニューヨークで彼のライブを見ることができた。特に、自分の声を見つけ、自信を持ってそれを信じるという彼のアプローチや、複数の楽器のためにパートを書き、多くの音楽の伝統を活用するやり方は、今でも彼女の指針となるインスピレーション源だという。ユカはまた、異なるジャンルの要素を取り入れ、説得力のある感情的なテクスチャーで楽器間の豊かな相互作用を生み出す作曲能力も高く評価されている。

パーカッショニストの池田あゆ子は、ゆかと同様、クラシック、アフリカン、ラテン、ジャズなど様々なジャンルの音楽を演奏し、ラジオドラマやミュージカルにも出演している。また、日本や中国の伝統的な楽器やスタイルを取り入れたアンサンブルでも活躍し、異文化の打楽器を斬新に組み合わせて演奏することも多い。海外公演も多数。1995年にはカーネギーホールで打楽器アンサンブルと共演。2004年にはスウェーデンとドイツで、2005年にはオーストラリアで演奏した。カナダで録音された2枚のアルバムにも参加している。

Yasuko Ikeda 池田安友子写真提供:クリストファー・ペラム

池田靖子

UrBANGUILDで女性グループと一緒に演奏し、歌っているユカのビデオをお見せしよう、 コロイド本当は見たかったのだが、今回の旅では見ることができなかった。しかし、その1週間後にUrBANGUILDで行われたワイルド・インプロ・ジャムで、コロイドのヴァイオリニスト/ヴォーカリストの阿垣明子に会った。

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