芸術に関する精神的考察

M³'sフェスティバルが示す包括性の力

執筆者 | 11月 1, 2023 | 音楽 | コメント0件

9月21日から23日まで、 音楽家のための相互メンターシップ(M³) が開催された。 M³フェスティバルルーレット・インターミディアム をニューヨークのブルックリンで開催した。このイベントには、M³の第3期生と第4期生のミュージシャンが世界中から集まり、その多くが初めて直接会って共演した。M³が今年開催した2つの公開イベントのうちの1つであるこのフェスティバルは、同コホートの参加者だけでなく、M³という組織とそのミッションのショーケースとなった。

ヴォーカリスト、作曲家、マルチ・インストゥルメンタリストによって2020年に共同設立された。 ジェン・シュー ヴォーカリスト、作曲家 サラ・セルパM³は、人種、セクシュアリティ、能力など、世代を超えて、歴史的に過小評価されてきたジェンダー・アイデンティティー(シス女性、トランス女性、トランス男性、ノンバイナリーなど)のミュージシャンに力を与え、高め、正常化し、可視化するためのプラットフォームを提供する。

M³を設立する前、シュウとセルパは、音楽業界、特に女性アーティストや、歴史的に社会的地位の低いアーティストにとって、多くの欠点や落とし穴があることに気づき、それがどこにつながるのか見当もつかないまま、それを何とかするために協力することを約束した。自分たちのキャリアを振り返ってみると、多くの場合、音楽教育機関は女性やBIPOCのアーティスト/講師を雇うことができず、生徒たちが直面する課題を克服するためのロールモデルやロードマップを提供することができなかった。

Jen Shyu and Sara Serpa, photo by Christopher Pelham写真提供:クリストファー・ペラム

ジェン・シュー、サラ・セルパ

M³(ミュージシャンのための相互メンターシップ)と名付けたこの組織は、老若男女を問わず、女性やノンバイナリティのアーティストのグループに対して、コミッションの資金を提供し、1対1やグループでの相互指導を行い、それぞれのグループの著作集を出版し、参加者が一緒に演奏できるフェスティバルをプロデュースする。そして、その提案の明確さと価値、そして彼ら自身の献身と誠実さ、アーティストとしての実績により、セルパとシューは、これまで一度もそのようなプログラムを実施したことがなかったにもかかわらず、すぐにその資金調達に必要な数万ドルを集めることに成功した。多くの芸術団体がアーティストへの門戸を閉ざし、多くの財団が支援を縮小していたパンデミックの最中、新しいプロジェクトのためにこれだけの資金を集めることは、ある意味奇跡的なことだった。 なお、onlylove.artの発行元であるCRS(Center for Remembering & Sharing)は、M³'sの継続的なスポンサーのひとつとなった。

M³は2020年夏より、ジャンルも国も背景も世代も異なる12名のアーティストを選抜し、6~9ヶ月のコホートに参加させる活動を開始しました。グループとして、また2人1組でオンラインミーティングを行い、コホートメンバーは対等な立場で経験を共有し、励まし合います。彼らはそれぞれ、様々な背景や境遇にありながらも、同じような課題を克服し、現役アーティストとして健全な生活を送り、音楽を世に送り出そうとしています。

世代も文化も異なる仲間と過ごすこうした機会は、参加者が本当に一人で悩んでいるのではなく、むしろ包括性とエンパワーメントを求める世界的なムーブメントの一部であることを確認させてくれる。参加者たちは、新たな支援ネットワーク、インスピレーション、そして自分たちの創作活動に役立てたり、それぞれの音楽コミュニティに導入したりするためのツールを得て帰っていく。

また、各コホートの参加者が受け取る$3,000のデュオ委嘱助成金は、異なるジャンル、世代、背景を持つ仲間のアーティストとコラボレートすることで、作曲の筋力を伸ばしながら新作を創作するための報酬を得ることを可能にする。このような委嘱と、それに伴うM³フェスティバルでの演奏機会は、伝統的に地位の低い音楽家が直面する機会、収入、指導の格差に取り組む一歩となる。

現在、毎年開催されているこのプログラムには、これまでに72組のアーティストが参加している。独自に活動しながらも、価値観や目標を一致させて連帯するアーティストのネットワークが広がることで、垣根を取り払い、音楽シーンを変革して、より公平な制度、ひいては私たち全員にとってより安全で健康的で包括的な世界を創り出す可能性がある。

2023年のM³音楽祭には、21組のM³アーティストと多数のアンサンブル・メンバーが参加し、それぞれが独自の才能と芸術的ビジョンを発揮しました。バランスと多様性を絶え間なく追求する中で、この作曲家・演奏家のラインナップは、ジャンルを超えた革新性を体現するために熟考されたものである。「M³の第3期生と第4期生の今年のフェスティバルのミュージシャンは、現在世界で最も画期的なコンポーザー・パフォーマーであり、それぞれが驚くほど明確なビジョンを持っています。

フェスティバル初日

Fay Victor and Rebekah Heller, photo by Christopher Pelham写真提供:クリストファー・ペラム

フェイ・ヴィクター(声)、レベカ・ヘラー(ファゴット)

フェスティバルの開幕を飾ったのは、M³の第2期生メンバーである。 フェイ・ビクター 第3コーホートのメンバーとヴォーカル・リフを交わす レベッカ・ヘラー (ファゴット)は、それぞれが驚くような音のシンフォニーを奏で、実際、どこか別の次元のフルオーケストラから送られてきているのではないかと疑ってしまうほどだ。 インターナショナル・コンテンポラリー・アンサンブル ビクターとヘラーは、ニュースクールのパフォーミング・アーツ・カレッジ(CoPA)の教員でもあり、アーティストでもある。

ジャズ界の長老たち フランチェスカ・タンクスレー (第3期生であり、旧友でもある。 ニューマン・テイラー・ベイカー (ドラムスのベイカーは、マックス・ローチに "ワンマン打楽器オーケストラ "と呼ばれている。タンクスリーとベイカーは、ビリー・ハーパー・クインテットで何年も一緒に演奏し、その後タンクスリー自身のアンサンブルや彼女の初期のアルバムでも共演した。この夜、ふたりは13年ぶりの共演となったが、楽しそうにくつろいでいた。

Francesca Tanksley, photo by Christopher Pelham写真提供:クリストファー・ペラム

フランチェスカ・タンクスレー

Newman Taylor Baker, photo by Christopher Pelham写真提供:クリストファー・ペラム

ニューマン・テイラー・ベイカー

ちなみに、ベイカーの父方の祖父であるT・ネルソン・ベイカー牧師は、イェール大学で哲学の博士号(1903年)を取得した唯一の元奴隷学生であり、熱心な洗濯板奏者でもあった。洗濯板は、電気洗濯機が登場するまでほとんどすべての家庭にあったもので、店で楽器を買う余裕のない人々に演奏の機会を与え、洗濯板は20世紀初頭から半ばにかけてクレオール、ザイードコ、ジャズ、ブルースのバンドで頻繁に見かけられた。この発見がベイカーに ウォッシュボードXTアコースティックとエレクトロニック・ウォッシュボードのための21世紀の音楽」を創作し、共有することによって、その伝統を更新し、拡大するプロジェクトである。

若く光り輝くデュオ、マラティン-第3期メンバー リア・モダック (ギター、声)と アンジェラ・バロ (ギターとアンダルシア・ヴァイオリンのために編曲された神聖なバウル(ベンガルの神秘主義者)の民謡に魅了される。 モダックはブラウン大学で歴史学の博士課程に在籍しており、「南アジアにおけるナショナル・アイデンティティの創造と破壊における映画、民俗音楽、クラシック音楽、その他の音楽の役割について研究している。フラメンコ発祥の地であるスペインのアンダルシアで生まれ育ったヴァロは、2023年にバークリー音楽大学を卒業し、フラメンコ、ジャズ、クラシック、地中海の伝統の要素をふんだんに取り入れながら、世代を超えた癒しと社会正義のために、音楽で人々をひとつにまとめている。

Ria Modak (guitar, voice) and Ángela Varo (violin), photo by Christopher Pelham写真提供:クリストファー・ペラム

リア・モダック(ギター、声)、アンジェラ・ヴァロ(ヴァイオリン)

バーバラ・トガンダー (1964年にスウェーデンで生まれ、チュニジア、スペイン、スウェーデン、リベリア、そしてアルゼンチンで育った3人目のグループ、ターンテーブル、ヴォイス)は、アルゼンチンの作曲家、音楽家、マルチメディア・アーティスト、アラン・マッカートニーとともに、テクスチャーとリズムのコラージュの中でヴォーカルの断片が渦巻く、まったく異なる、そして心を揺さぶる音の宇宙へと私たちをいざなった。 セシリア・ロペス とシンセサイザーで共演した。トガンダーの音楽的発展はジャズに根ざしているが、フリー・ジャズや実験音楽へと向かっている。過去20年間に9枚のアルバムをリリースしている。ロペスの音楽はBandcampのThe Best Experimental Musicで紹介されている。

Barbara Togander (turntables, voice), photo by Christopher Pelham写真提供:クリストファー・ペラム

バーバラ・トガンダー(ターンテーブル、声)

Cecilia Lopez (synthesizer), photo by Christopher Pelham写真提供:クリストファー・ペラム

セシリア・ロペス(シンセサイザー)

ミレーナ・カサド (スペイン出身の若手作曲家、フリューゲルホルン、トランペット奏者で、すでにテリー・リン・キャリントンやクリス・デイヴィスらと共演しているテリー・リン・キャリントン(3人目)は、自身のセットで、20代の「奇才サックス奏者兼マルチ・インストゥルメンタリスト」(ニューヨーク・タイムズ) モーガン・ゲラン.M³に参加した他のミュージシャン同様、カサドもM³で学んだ。 バークリー・インスティテュート・オブ・ジャズ・アンド・ジェンダー・ジャスティス監督はテリー・リン・キャリントン。

ヴァイオリニスト、作曲家 レイエール・チェイカー同じく第3コーホートのメンバーである、"Radio Afloat "組曲をアレンジし、"Radio Afloat "組曲と "Radio Afloat "組曲の共演で第1夜を締めくくった。 フィリップ・ゴルブ (ピアノ、微分音キーボード)と アドリアーノ・ヴィンセンティーノ (ドラム)。チャケルはパリ生まれだが、レバノンで育ち、やがてニューヨークに移住。アラブと西洋のクラシック・サウンドにジャズの即興的要素を取り入れた音楽で知られている。レバノンの作家ウンシ・エル・ハージの詩「青い情熱の跡」にインスパイアされた "Radio Afloat "は、こうした特徴を示している。アラビック・マカムのメロディーに、切迫した予測不可能なリズムと微分音パターンが刻まれることで、音楽は親しみのあるものを呼び起こすと同時に、それを問い直し、再想像することができる。

写真提供:クリストファー・ペラム

レイエール・チェイカー

チェイカーと彼女のアンサンブルは、この新曲を国内だけでなく海外でもツアーする多忙な日々を送っているが、10月27日には、ニューヨーク・フィルハーモニックがチェイカーのもうひとつの新作、クラリネット、ヴァイオリンとオーケストラのための二重協奏曲「夜明け」をキナン・アズメとともにリンカーン・センターのデイヴィッド・ゲフィン・ホールでニューヨーク初演した。「Dawning」は、ネブラスカ・クロスローズ音楽祭とリンカーン交響楽団との共同委嘱作品であり、同じく女性作曲家である韓国のウンスク・チンの作品と一緒に演奏された。これは、作曲家として、またヴァイオリニストとしてリンカーン・センターでデビューしたチャケルの快挙であるばかりでなく、主要オーケストラで演奏される作品のうち、女性が作曲したものはわずか5%、非白人女性はわずか1%に過ぎないからだ。

フェスティバル2日目

Victoria Lo Mellin, Liz Behrend, Ni Nyoman Srayamurtikanti写真提供:クリストファー・ペラム

ヴィクトリア・ロー・メリン、リズ・ベアレンド、ニ・ニョマン・スラヤムルティカンティ

フェスティバルの2日目には、M³第4期生から多くのアーティストが登場した。 ニ・ニョマン・スラヤムルティカンティと共演するためにバリからはるばるやってきた。 ビクトリア・ロー・メリン そして リズ・ベアレンド ニューヨークの ガムラン・ダルマ・スワラ (GDS)は、米国を代表するバリ・ガムランと舞踊のグループである。

多くの芸術団体がそうであるように、GDSもパンデミック発生時には冬眠を余儀なくされ、4,000ポンドを超える楽器を不本意ながら倉庫にしまった。GDSのロー・メリン会長は、この時期に双子を出産したが、昨年、クイーンズのリッジウッド長老教会でGDSのコミュニティを再確立し、リトル・アイランド、リンカーン・センター、ハドソン・リバー博物館など、地域全体の公演でワークショップを行う活発なスケジュールを再開した。伝統音楽にどっぷり浸かって育ちながら、その伝統をさらに広げつつあるバリ出身の現代作曲家との共同作業は、地元のバリのディアスポラ・コミュニティにとって、生きた伝統に参加する貴重な機会となった。

2日目2組目のM³アーティストも遠路はるばるやってきた。南アフリカ、ヨハネスブルグ出身の31歳の作曲家兼ヴォーカリストである。 ガビ・モトバ のベーシストを招き、フェスティバルでニューヨーク・デビューを飾った。 リアニー・マテオ そこで出会ったマトゥバは、彼女のセットに参加した。マトゥーバは、元々彼女のアルバム『The Sabbath』のために声楽と弦楽四重奏のために書かれた自作のスピリチュアル曲を、陰鬱でストリップダウンした形で披露した。 モトゥバは昨年、南アフリカのソウェト劇場音楽チュートリアル・プログラムの最初の専属作曲家として、次世代の南アフリカ人ミュージシャンを育成するための音楽カリキュラムを開発した。
Gabi Motuba (voice) and Linny Mateo (bass), photo by Christopher Pelham写真提供:クリストファー・ペラム

ガビ・モツバ(声)、リニー・マテオ(ベース)

第4期生 レオノール・ファルコンベネズエラ出身のヴァイオリニスト、ヴィオラ奏者、作曲家、即興演奏家、教育者であり、ニューヨークで数年間暮らした後、夫と幼い子供とバルセロナに移り住んだ。 リトミック 別名 ポーラ・ショクロンアルゼンチン出身)のピアノと セシリア・ロペス (前夜、バーバラ・トガンダー(アルゼンチン)とエレクトロニクスで共演した。彼らのセットは、不吉なピアノのラインと悲痛なストリングスの下で、昆虫や人間以外の足音を連想させる電子音の乱舞で幕を開けた。

ショクロンとファルコンは最近、音楽だけでなく映画も制作している。テキストを重ねたイメージのコラージュと、ピアノとヴィオラの余裕のあるトラックで作られたM³デュオの委嘱作品、 "我々の歴史、我々の炎" (私たちの物語、私たちの炎)』は、社会から疎外され、虐待された女性や母親たち、残された者たち、彼女たちの苦しみと忍耐、そして優しさへの悲痛なエレジーである。

El Cuerpo Ritmico (photo by Christopher Pelham)写真提供:クリストファー・ペラム

リトミック

Leonor Falcón写真提供:クリストファー・ペラム

レオノール・ファルコン

グッシー・セレスタン (ピアノ/声楽)と、彼女の4人目のデュオ・パートナーであるドラマーで作曲家の フランチェスカ・レミージ第4期生を迎えた。 ナオミ・ムーン・シーゲル (トロンボーン)、第5期メンバー ジェシカ・ジョーンズ (テナーサックス)、そして リアニー・マテオ (セレスティンの祖先への祈りやアリス・コルトレーンの呼びかけを、レミギの生き生きとした作曲とともに披露した。音楽は時にカーニバルのようであり、時に内省的であり、常にスピリチュアルであった。

2人の男の子の母であり、ピアニスト、ヴォーカリスト、作曲家であると同時にダンサーでもあるセレスタンは、最近、ニューオーリンズのセカンドライン、ハイチのララの伝統(奴隷制時代やそれ以前のアフリカに遡る伝統的なヴォドゥーの儀式、音楽制作、ダンスを取り入れたハイチの復活祭の週)、そしてジャズ・アット・リンカーン・センターの教授陣を務める傍ら、アヤティ・ブラス・アンサンブルでジャズというレンズを通して、ハイチの民族音楽とスピリチュアルな音楽、ダンスを分かち合っている。

ニューヨークとベルガモを行き来するレミージは、アヴァンギャルド、フリー・インプロ・ジャズ・シーンでの国際的なコラボレーションで知られ、クリス・デイヴィスやM³第1期メンバーなど著名なアーティストと共演している。 ヴァル・ジャンティ また、世界中のフェスティバルや会場で演奏するバンドを率いてきた。バークリー・グローバル・ジャズ・インスティテュート・マスター・プログラムとバークリー・ジャズ&ジェンダー・ジャスティス・インスティテュートの卒業生であり、これまでにバンド・リーダーとして2枚、共同リーダーとして3枚のアルバムをリリースしている。

Goussy Célestin (piano/voice), Naomi Moon Siegel (trombone), Jessica Jones (tenor sax), Liany Mateo (upright bass), and Francesca Remigi (drums)写真提供:クリストファー・ペラム

グッシー・セレスタン(ピアノ/ヴォイス)、ナオミ・ムーン・シーゲル(トロンボーン)、ジェシカ・ジョーンズ(テナーサックス)、リアニー・マテオ(アップライトベース)、フランチェスカ・レミージ(ドラムス)

フェスティバル3日目

フェスティバルの第3夜は次のように始まった。 ナオミ・ムーン・シーゲル (トロンボーン)、 レオノール・ファルコン (ヴァイオリン)、そして フランチェスカ・レミージ (ドラム)が第4期生とともに復帰 ジェシカ・アッカリー (ギター)と ケルシー・マインズ (ベース)と、モンタナ州ミズーラを拠点とするシーゲルがバンドリーダーを務めた。ジャンルにとらわれない作曲家であるシーゲルとアンサンブルは、伝統的なジャズ、ニューミュージック、フュージョン、ポピュラー、ワールドミュージックのイディオムを軽々と行き来し、新鮮で活力に満ちた音楽を作り上げた。最初の曲は、私たちの携帯電話との中毒的で時に波乱万丈な関係を騒々しく表現し、2曲目は子供時代の経験に優しく賛辞を捧げた。このセットは、シーゲルのサード・アルバムのために作曲された組曲の第1楽章をアレンジした "Holding All the Broken Pieces "で続いた。

M³の共同設立者であるジェン・シューとサラ・セルパ、そして他のM³アーティストの多くがそうであるように、シーゲルもまた、ジャズと音楽、特に教育機関における交差的ジェンダー正義のための熱心な提唱者である。彼女は、ジャズにおける有害なジェンダー規範に対する意識を高めるため、全国各地でワークショップを開き、プレゼンテーションを行っている。

Naomi Moon Siegel (photo by Christopher Pelham)写真提供:クリストファー・ペラム

ナオミ・ムーン・シーゲル

Kelsey Mines (photo by Christopher Pelham)写真提供:クリストファー・ペラム

ケルシー・マインズ

Francesca Remigi (photo by Christopher Pelham)写真提供:クリストファー・ペラム

ケルシー・マインズとフランチェスカ・レミージ

ベーシスト、作曲家 ヴィノ・ウー 中国からはるばるやってきて、4人目のデュオ・パートナーと初めて直接プレーした、 ルース・ナオミ・フロイド.フィラデルフィアに生まれ、現在もフィラデルフィアを拠点に活動するヴォーカリスト兼作曲家のフロイドは、25年以上もの間、プログレッシブ・アンサンブル・ジャズの伝統の中でクリスチャン・スピリチュアル・ソングを書き続け、その完璧なメゾ・ソプラノ・ヴォイスで、焼け付くような高鳴る生命を吹き込んできた。バークリー・カレッジ・グローバル・インスティテュート・オブ・ジャズで修士号を取得し、ジャズ、即興音楽、ヒップホップ、ポップ・ミュージックなど、さまざまな系統の音楽に精通している。呉自身のこれまでの作曲は、アイデンティティ、真正性、そしてフロイドのように社会正義の問題に焦点を当てたものが多い。ステージには アーロン・グレイブス (ピアノ)、 ビル・マーレイ (葦)、そして ロニー・バレージ (ドラムス)、フロイド、ウーが会場を沸かせた。

Ruth Naomi Floyd (photo by Christopher Pelham)写真提供:クリストファー・ペラム

ルース・ナオミ・フロイド

Vino Wu (photo by Christopher Pelham)写真提供:クリストファー・ペラム

ヴィノ・ウー

フレデリック・ダグラス・ジャズ・ワークス はルースがジャズセプテットのために作曲した最新作で、偉大な一流の演説家、奴隷制度廃止論者、作家、出版社、政治家の演説や著作に基づいている。この作品群は、2020-2021年のサンフランシスコ・クラシカル・ヴォイス・オーディエンス・チョイス・アワードでベスト・ヴォーカル・リサイタル賞を受賞した。2021年、ルースはIntercultural Journeysとのパートナーシップのもと、偉大なコントラルト歌手マリアン・アンダーソンの遺産と活動主義に敬意を表し、声楽とチェロのための3曲のサイクルの作曲を依頼された。ルースとインターカルチュラル・ジャーニー社は、2021年5月に全米芸術基金(National Endowment for the Arts)からプロジェクト助成金を授与された別の委嘱作品でも提携した。この『フランシス組曲』は、フランシス・エレン・ワトキン・ハーパーの人生、擁護活動、文学作品を探求するもので、有色人種の女性アンサンブルをフィーチャーする。ルースをフィーチャーしたオーリン・エヴァンス・トリオは、力強い解放の賛歌であるアフリカン・アメリカン・スピリチュアル "Oh Freedom "で、NPR Musicの2021年ベスト・ライブ・セッションに選ばれた。

デュオ 明るい明るい第4コーホートのデュオ・パートナーで構成される ジェシカ・アッカリー (ギター)と ジョーン・スー (ボーカル/シンセ)は、話し言葉を純粋な音として聴かせ、このような音楽のデュエットが生み出す豊饒で広大な領域を体験させた。冒頭、スーはゆっくりとしたリズムで反抗的に単音を吠えたり歌ったりし、アッカリーはそれにギターの単音で応えた。この前奏は、スーの躁的で会話的な語り口へと変わり、ロビン・ウィリアムズを彷彿とさせるようなやり方で、海外生活の落とし穴についてトルコ語でリフレインした。

アッカリーは頭を低くして、理解できない言葉にストイックに耳を傾け、純粋な音として受け取り、ギターで音を出すことでしか反応しなかった。スーがより多くの音を話したり歌ったりすると、アッカリーはより多くの音を奏でた。やがて、スーの話し声は、言葉のない音を発声して歌うようになり、変わったイントネーションとメロディーを作り出し、アッカリーはそれを脈打つリズムに変換したようだった。

Joan Sue (photo by Christopher Pelham)写真提供:クリストファー・ペラム

ジョーン・スー

Jessica Ackerley (photo by Christopher Pelham)写真提供:クリストファー・ペラム

ジェシカ・アッカリー

それを聴いていると、私はSFのような描写を想像した。蚊取り線香のブザー音のパターンで表現されたコードによって、別の存在がその意識をハッキングしようとする一方で、蜂の巣のようなマインドが歌い、警戒しながら自分自身とコミュニケーションを取ろうとしている!時折、会話は穏やかになり、また新たな音とリズムを生み出しながら活発になっていく。観客の中にトルコ語を理解できる人はほとんどいなかったし、伝統的な意味での音楽と呼べるような音のパターンはほとんどなかったにもかかわらず、このデュオは演劇的にも音的にも、なんとか人を惹きつけることができた。

スーのヴォーカル・パフォーマンスは、演劇的な側面が最もすぐわかるものだが、彼女の語り口には意識的な音楽性もあり、このパフォーマンスではシンセサイザーの音でそれを補っていた。言語的でありながら音楽的でもあるこの会話を聴いていると、私たちの心がどのように意味を求め、時には意味を確立できないところに意味を作り出そうとしているのか、より意識的になるよう誘われる。また、たとえ何を言っているのかわからなくても、誰かが話すのを聞くとき、そしてその話し方に耳を傾けるとき、私たちの中に湧き上がる感情をより意識するよう促してくれた。それはまた、私たちが考える音楽の響きやあり方の枠を広げるものでもあった。スーの演奏は、トルコ語と、彼女が表現しているものに対する彼女自身の感情によって形作られたものであり、アッカリーには、確立された伝統の中で活動する器楽奏者が演奏するのとは間違いなく異なるリズム、フレージング、サウンドに反応する機会が与えられた。

M³のデュオ・パートナーの中には、バックグラウンドもアプローチも全く異なる別のアーティストと仕事をする創造的な挑戦とそのプロセスが大好きだが、その後、必ずしもその創造的なパートナーシップを正式に継続したいとは思わない人もいる。しかし (声とエフェクト)と エリ・マリワン AKA Saxreligious (テナーサックス)の伴奏でフェスティバルを締めくくった。 カイリ・オドハティ (キー)、 ベンジャミン・ヤング (ベース)、そして エリザ・セーラム (ドラムス)は、SONGの瞑想的なナンバーとマリワンのジューシーな歓喜のセレブレーションをミックスさせることを非常に楽しんでいた。

マリワンは、トランスジェンダーのアジア系アメリカ人パフォーミング・ミュージシャン、作曲家、教育者、活動家で、カリフォルニア州ベイエリアで生まれ育ち、現在も同地で暮らしている。性別を肯定する手術を何度か受け、彼の出生名がたまたまエリシアであったことから、イーライは、パンデミックの最中、トランスおよびアジア人コミュニティに対する暴力が増加する中で録音されたデビュー・アルバムのタイトルを""とした。エリシア・マージナータ「エリシア・マルギナータと呼ばれるウミウシの一種が、自分の首を切って新しい体を作ることにちなんでいる。イーライは、このアルバムの音楽は再生、成長、癒し、そして不確実で苦痛に満ちた時代の喜びを表していると言う。また、90年代の風変わりな子供たち、クィア・トランス・コミュニティ、ビポック・コミュニティへのセルフケア・ラブレターでもある。

SONG (voice), Benjamin Young (upright bass), and Saxreligious (tenor sax)写真提供:クリストファー・ペラム

SONG(ヴォイス)、ベンジャミン・ヤング(アップライト・ベース)、サックスレリジアス(テナー・サックス)

韓国で生まれ育ったソンは、ヨーロッパでクラシックの作曲を、バークリーでジャズ・ヴォーカルを学び、即興演奏の才能とモダンジャズ・ハーモニー、珍しい拍子記号、歌いやすくキャッチーなメロディーを組み合わせた独自のスタイルを確立した。すぐにブルーノートをはじめ、世界中の会場やフェスティバルで演奏するようになった。彼女の2022年のデュオ・アルバム"ホームブラジルのギタリスト ヴィニシウス・ゴメスマリワンとのデュオ作品とはまったく異なるように聞こえるが、彼女の言葉を借りれば、それは同じところから来ている:「まったく異なる文化、背景、人生の物語を持つ2人の出会い......。実質的に正反対の方向から来たとしても、共通の地点で出会うことができる。ここに記録された旅は、私たちがどこにいようとも背負っているアイデンティティ、つまり私たちの価値観、私たちの物語、私たちの過去、現在、そして未来として、"ホーム "という言葉のさまざまな意味を確認する助けとなった"

永遠。感情。亡命。彼女の最初のナンバーで、SONGはこれらの広大なテーマをゆっくりと名付け、繰り返し、彼女の声はまるで壮大な旅を思い起こさせるかのように上下し、バンドはそれらを熟考するために広々とした堂々とした音のタペストリーを作り上げた。まるで噴水から勢いよく流れ出る水のような、甘美な音の滝は、どの曲がイーライのものなのか疑う余地もなかった。そして、イーライの曲が楽しい曲であるのに対し、彼女の曲はメロウな曲であることを述べた後、SONGはアンサンブルを自身の曲「Familiar Foreign Faces」に導いた。イーライの音楽は遊び心に溢れ、生きる喜びを表現していたが、同時に、サックス宗教的な神聖なエネルギーとつながり、自由に分かち合うことの必要性を真剣に訴えていた。詩人であり活動家でもあるジューン・ジョーダンの "We are the ones we have been waiting for "という言葉にインスパイアされたSONGの "We Are "で幕を閉じた。南アフリカ女性のための詩 - 1956年8月9日、南アフリカ共和国の首都でアパルトヘイト(人種隔離政策)に反対する何万人もの女性や子供たちが体を張って抗議したことを記念して書かれたものである。

 

ここまでくれば、M³フェスティバルが、驚くほど才能豊かで多様なアーティストたちを集めたことがおわかりいただけたと思う。彼らはそれぞれ、何を表現したいのか、なぜ表現したいのか、そして、音楽とは何なのか、そして、音楽は誰にとってもどうあるべきなのかを問いかけ、広げるような方法で、自分の考えを音楽に反映させる方法について、深く思索している。M³の共同設立者であるシュウとセルパは、このイベントを開催するために多大な労力を費やした。すでに多忙で成功を収めている中堅アーティストが、自分たちだけで時間を割いて取り組むこととは限らない。しかし彼らは、より多くの指導者、より多くの資金、より多くの機会を求める自分たちのニーズが、他の多くのアーティストと共有されていることに気づいた。その逆もまた然りだ。このサービスを他のアーティストに提供することで、セルパとシュウもその恩恵を分かち合い、「与えることは受け取ること」であることを証明している。

私たちは皆、何かを提供し、何かを受け取ることができる。そのことを念頭に置いて、好奇心を持って、対等な立場で、判断することなく、互いに出会うとき、私たちは互いを高め合い、新たなインスピレーションを呼び起こすことができるのだ。M³フェスティバルは、M³の使命を明確に体現し、包括性の力を証明するものとなっている。伝統的に存在感の薄いコミュニティ出身のアーティストでも、彼らにリソースがあれば、最高レベルの音楽を作り、それを共有するために、安全で、包括的で、歓迎される環境を作ることができるのだ。このようなアーティストが、自分たちのチャンスを待ち望み、準備していることは間違いなく、このフェスティバルは、そのようなアーティストに、どのように協力してチャンスを創り出すかの輝かしい例を提供するものである。

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